iPad Pro M4 レビュー|最高のiPadだが最良のiPadではない
2024年5月に登場したiPad Pro M4は、Appleが「ノートPCの代わり」を超える存在として市場に送り出した意欲作。さらにM3を飛ばしてM4が搭載された初のiPadです。
ProかAirどちらを買おうか迷い、性能も価格もProレベルなiPadを使ってみたかったこと、Magic Keyboardと組み合わせてPCライクに使ってみたかったので購入しました。
3カ月ほど使ってみた結果、「Proじゃなくていい」が一番の感想。
ここまでの高性能iPadを必要とする人はごく一部です。例えばバリバリ動画編集でその高パフォーマンスが必要な人、またApple Pencil Proで快適にイラストを描きたい人です。
なんとなくMacBookライクに使いたいと思っていると、せっかく購入したiPad Proの性能を持て余すと思います。最悪使わなくなるなんてことも・・・
iPad Proは最高のiPadですが最良のiPadではないというのが僕の感想なので、今回は使用感と共にどういった使い方が向いているか記事にまとめてみました。
- FaceID搭載
- 薄くて軽い
- 圧倒的に綺麗なディスプレイ
- iPadにしては価格が高すぎる
- 前作Magic Keyboardを使い回せない
iPad Pro M4の特徴
iPad Pro M4は、その薄さと軽さ、強力なパフォーマンス、そして進化したアクセサリにより、単なるタブレットから真のプロフェッショナルツールへと進化しました。
デザインとディスプレイ
iPad Pro M4は、13インチモデルで厚さわずか5.1mm、重さもWi-Fi版で579gという驚異的な薄型軽量デザインを実現しました。11インチでも厚さ5.3mm、重さ444gで持ち運びやすさと使用時の快適さが大幅に向上しています。
ディスプレイはタンデムOLEDを採用した「Ultra Retina XDRディスプレイ」で、深い黒と鮮やかな色表現を可能にし、反射防止のコーティングオプションも追加されました。これによりどんな環境下でも優れた視認性を提供します。
タンデムOLEDの美しさはiPad Pro単体では感じにくいですが、タンデムOLED非搭載のiPadと比べるとその違いを実感できます。
黒が「本当に黒」なのでベゼルとの一体感が高く映像の没入感を高めてくれます。
パフォーマンス
Appleの最新チップであるM4は、驚異的な処理速度とグラフィック性能を誇ります。Geekbenchのスコアでも前モデルや競合を大きく引き離しており、大幅な性能向上は特筆すべき点です。
MacのモデルによってはiPad Pro M4のほうが高性能な場合もあります。
専用アクセサリの登場
iPad Pro M4の専用アクセサリとしてApple Pencil ProとMagic Keyboardが新たに登場しました。ちなみに前作のMagic Keyboardを使い回すことはできません。
新たに登場したApple Pencil Proは、触覚フィードバックやジャイロスコープによる精密なコントロールを実現。クリエイティブ作業を次のレベルへ引き上げてくれます。
また、再設計されたMagic Keyboardは、よりスリムになりつつ金属製のパームレストでMacBookライクな体験を提供します。 金属製のパームレストは見た目だけでなく、前作Magic Keyboardの弱点だった耐久性を向上させています。
iPad Pro M4の使用感
クリエイティブな作業や高度なモバイルワークには最適ですが、従来のノートPCの代替として全ての人に勧められわけではなく、用途やMチップ搭載MacBookのようなバッテリーパフォーマンスを期待すると「思っていたのと違った」となるので検討の余地があるかもしれません。
ここからは実際に使ってみた使用感を書いていきます。
FaceIDが便利すぎる
iPadシリーズでProのみFaceID搭載です。iPhoneでも当たり前のようにFaceIDを使っているので、いまさらTouchIDに戻るのはちょっと厳しい。というかFaceIDということがiPad Pro M4を選んだ理由でもあります。
薄くて軽い
M4チップを搭載したiPad Proは、Apple史上最も薄い製品となり、持ち運びやすさが向上しています。デザインも一新され、よりスタイリッシュになりました。
圧倒的に綺麗なディスプレイ
タンデムOLEDが搭載されたUltra Retina XDRディスプレイはさすがと言えるほど黒の表現が綺麗です。
ただ、タンデムOLED非搭載iPadも普通に綺麗なので、ここはそんなにこだわる必要はなくて自己満足の世界かなと感じますね。
MacBookが使いたくなる
Magic Keyboardを装着したiPadは使えば使うほどMacBookが使いたくなります。これはデバイスよりOSの問題。
マルチタスクやアプリの連携など、Macのほうが全然使いやすいです。少しの期間、Macbookは使わずiPadのみの縛りで生活してみましたが、1週間が限界でした。
iPad OSは高度な動画、画像編集やマルチタスクはかなり厳しいです。普段MacBookを使っていると、その制限に使いにくさを感じてしまうことが多かったというのが正直な感想。
ここがiPadにMacBookのような使い方を求めてはいけない理由です。
価格が高すぎる
いいプロダクトであることは間違いないことを承知の上で言うと価格が高すぎる。最低価格17万円からは気軽に買えるものではないですね。
高性能な中身を考えると仕方がないことかもしれませんが、玄人向けiPadという印象です。
iPad Pro M4のレビューまとめ
iPad Pro M4は、その高性能とディスプレイの美しさ、そしてデザインの洗練さで多くのユーザーを引き付ける高性能なiPadであることは確かです。しかし、新機能の実際の利便性や価格の高さが購入の壁になっていることも事実です。
特に既存のiPad Proユーザーにとっては、買い替えの必要性を感じにくいところもありますが、それだけiPad Proの基本性能が高いことの裏付けでもあるということ。
またiPadOS18へアップデートすると文鎮化してしまう問題も発生しており、ソフトウェアの初期不具合もユーザー体験に影響を与えていることも気になります。
誰にでもおすすめできるiPadではありませんが、その高パフォーマンスがどうしても必要な人、絶対にFaceIDがいい人はiPad Proを選ぶ価値はあります。僕はiPad Proなんだからいろいろ使わないともったいないと思いましたが、どうしてもiPadOSの制限に使いづらさを感じてしまったタイプ。
作業はMac、動画視聴など軽い使い方はiPadで、という使い分けが適していたなと思っています。iPad Pro M4は間違いなく最高のiPadですが、同時にMacbookの素晴らしさを再認識した機会でもありました。
今回の記事は以上になります。